槍穂高の大展望 蝶ヶ岳2013/05/08

蝶ヶ岳(2677m)は北アルプス穂高連峰の東にあり、槍ヶ岳から穂高岳の稜線を真近に見ることができます。
以前、上高地側の徳沢から登ったことがありますが、今回は東の安曇野側から、雪の槍穂高を見る目的で行ってきました。
天気は予想通り快晴、素晴らしい景色を堪能しました。
トレース
8日
6:40三股口駐車場-7:00三股-8:26まめうち平-12:06稜線12:51-12:54蝶ヶ岳山頂-13:29横尾分岐手前-14:16蝶ヶ岳ヒュッテ
9日
7:10蝶ヶ岳ヒュッテ-8:58まめうち平-10:29三股-10:43駐車場
駐車場から蝶ヶ岳の稜線
三股の登り口は、国営アルプスあずみの公園の奥にあり、林道ゲートの駐車場までは舗装道路の道です。さすが国営公園の関連施設、良く整備され、トイレもいたるところに設置されています。
駐車場には平日にもかかわらず7、8台の車が駐車していました。すでに出発したのか、ほとんどの車には人影がありません。
装備を整えて出発、駐車場から少し歩くと登山指導所があり、登山届けを提出して沢沿いの道を歩きます。三股で常念岳の道と別れ、吊橋を渡ると登りになります。
三叉の吊橋
急な道をしばらく登ると、木株がゴジラの頭に見える「ゴジラの木」があります。口に相当するところには尖った石が並べられ、頭には毛糸の帽子がかぶせられています。
このユーモラスなオブジェは疲れを忘れさせてくれます。
ゴジラの木
まめうち平の手前1800m付近から残雪が現れ、軽アイゼンを装着しました。昨日までの寒気のせいか、雪は硬く締まっていて、アイゼンの爪が程よく刺さります。
残雪が現れてきた
出発して2時間弱でまめうち平に到着。平からは緩傾斜の樹林帯をしばらく歩きます。
まめうち平
徐々に傾斜が増す斜面を登り、右に蝶沢を横切ってトラバース気味に登ると、急登の雪斜面になります。
安曇野の向こうに浅間山
さすがに標高差1300mのコース。このあたりになると疲れがドッと出てきます。
樹木が疎らになり、雪面は日を浴びてだいぶ緩んできました。こうなるとアイゼンの爪があまり利かなくなるので、余計体力を消耗します。
稜線直下の斜面
2500m付近で森林限界を抜け、最後の登りになります。ハイマツが現れ始めた斜面を登りきると稜線で、突然、槍から穂高の稜線が目の前に広がりました。まだ冬の姿そのままの峰々は圧倒的な迫力です。
目の前に槍穂高連峰

槍ヶ岳アップ

穂高岳アップ
寒気団の名残で空気が澄んでいる為、穂高岳や槍ヶ岳の登路が雪面に残っているのがよく見えます。稜線上は時々風が吹き付けますが、あまり寒くないので景色を見ながら昼食にしました。
1時間近く休憩を取り、蝶ヶ岳最高点2677mの山頂に登りました。蝶ヶ岳の山稜は南北に長くなだらかで、山頂が分かりづらいですが、この最高点に山頂の標識があります。
蝶ヶ岳山頂
山頂は360度の展望で、富士山から、南、中央アルプス、御岳から乗鞍岳、そして大迫力の槍穂高連峰と大天井岳、常念岳、北信濃の妙高山槐、浅間山まで全て見ることが出来ました。
御岳山(左)乗鞍岳(中)焼岳(左)
景色を堪能し下り始めると、ほんの3m程の所に大きな鳥(40cmぐらい)がハイマツの根の部分を穿っていました。人がそばに居ても全然逃げる気配がありません。
ホシガラス
後で聞くと「ホシガラス」という名前で、高山帯にすんでいるそうです。名前を聞いたことはありますが、見たのは初めてです、それもこんな近くで。
蝶ヶ岳ヒュッテと常念岳
ヒュッテに入るには早すぎるので、北へ稜線をたどりました。ヒュッテ近くの「瞑想の丘」を通り、横尾との分岐手前のピークまで、槍穂高を左に見ながら稜線漫歩を楽しみました。
蝶ヶ岳の稜線
2時過ぎにヒュッテに入り、宿泊(2食付で9千円)の手続きを済ませ、部屋に荷物を置いてからビール(500mlで700円)で登頂を祝しました。
ゴールデンウィーク直後の平日とあって、泊り客は我々2名のほかには女性が1名だけで、閑散としていました。石油ストーブを焚いていますが、人が少ないせいか寒く、寝る時には隣の布団や毛布も使いました。
山の上で宿泊すると、朝晩の山の景色を楽しむことができますが日帰りだとそうも行きません。午後6時半頃、槍ヶ岳と穂高の間にある「大キレット」に夕日が沈むのを見ることができました。
槍穂高の夕暮れ

大キレットに沈む夕日
朝は4時過ぎに起きて、朝焼けに染まる槍穂高を期待しましたが、暖気が入っているようで、春霞のように薄いベールに覆われて、日が当たるのも遅くなり、綺麗な朝焼けにはなりませんでした。
朝の槍穂高
6時に朝食、準備して7時過ぎにヒュッテを出ました。最後に槍穂高の稜線を目に焼付け、雪道を三股へ戻りました。昨日に比べ温度が上がり、雪がくさっている為、時々雪を踏み抜きます。
まめうち平を過ぎると急激に気温が上がってきて暑いくらいでした。沢の雪解け水もゴーゴーと音を立てて流れていました。
キクザキイチゲ
この温かさが数日続けば、雪解けが一気に進み、槍穂高の姿も残雪期の姿に変わってしまいます。良い時に来る事が出来てラッキーでした。
駐車場の手前まで来ると猿の群れが道にいました。昨日は林道を走っている時に大きな群れが道にいましたが、今回は数頭の群れです。昨日はキジも見ましたから、これで犬がいれば桃太郎になれます。
お猿さんと遭遇
11時前に駐車場に着き、帰路途中にある安曇野蝶ヶ岳温泉「ほりで~ゆ~四季の郷」(ヒュッテでもらった割引券で400円)で入浴して帰宅しました。
三股からの蝶ヶ岳コースは、登路の途中から常念岳が見えるだけで、稜線に出て始めて槍穂高を見ることができます。ちょうど島々谷を登って、徳本峠に着いて始めて穂高が見えるように、見えたときは感激もひとしおです。
登りはきついですが、その分達成感もある良いコースです。但し、ガスっていて何も見えない場合は悲惨ですが。